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製造元・・・ぽぷら。ゆる~くメイプル、だが譲れぬ一線がここにある。
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2024.11.22 (Fri)
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Updated   
2011.09.22 (Thu)




これがきっと走馬灯というヤツなのだろう。

そんな時まで友との約束を思い出せなかった俺は大馬鹿者だ。

夢の続き。


・・・そうだな、少し振り返ってみるか。



忘れるのも無理はないか、あの日は辛かった事が多すぎる。





けれども、大事な思い出はもう少し先にある。








オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!


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串刺しになった友達を見た瞬間、心の中の色々なモノが弾け飛んだ。

怒りだけが心と身体を支配していた。

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森で使っているナイフを、初めて人に向けた。

友達を串刺しにしている槍を持つ兵士に撃ち出された弾丸の如く飛びかかる。

そして、槍を持つ腕のみを狙って正確に切りつけた!

兵士:!?!

まさに一瞬だった。

切られた兵士さえ、何が起きたか理解できなかった。



・・・理解できなくて当然。

今動いてる子供はすでに肩を撃ちぬかれ重傷を負っている。

すでにかなりの血を流し、放っておけば死ぬ位の怪我である。

だから決して、「子供は動けない」と思っていた兵士が甘い訳ではない。



ここまでの重傷を負って動いている彼の方が常軌を逸脱しているのだ────ッ!!



皆が唖然としている中、彼は驚異的な速さで動き回る。

兵士の力が弱まった隙に強引に槍を奪い取り、更にはナイフを脇腹にブスリと差し込んだ。



兵士:ギャアアアアア!!



この悲鳴によって、貴族がようやく状況を理解する。



貴族:何をしている?!殺せ!殺すんだ!!



呆気に取られていたもう一人の兵士が、正気に戻って切りかかってくる。



盗賊:オオオオオ!!!!


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が、それよりも圧倒的に早く、兵士に向けてナイフを投げつけた。

ザシュゥ!

刺さったのは肩・・・兵士はその投擲を防げなかった。

しかも、その一瞬で間合いを詰められていた。

さっきの兵士と同じ様に槍を奪い、今度はその槍で兵士の足を貫いた。



兵士:アアアアアッ!!!



これで二人。すぐに動く事は出来ないだろう。




貴族:お前達は手負いのガキ一匹さえ殺せないのか!?撃て!!撃ち殺せっ!!!





撃てと命令されて、銃を持った兵士はようやく次は自分の番だと自覚した。

しかし、我に返っていても銃を構えることは無かった。

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・・・怖かったのだ。

あまりの展開に我を忘れ、撃とうとしても仲間2人に当たる事を恐れた。

そして何より・・・コイツの溢れんばかりの殺意が、自分に向くのが怖かった。

何故なら、自分は今痛みに苦しんでいる2人と違って、致命的なことをしている・・・そう、



一度コイツを撃ってしまっているのだ・・・っ!!




増しては、あの異常なほどの速さ。

何発撃っても当たる気がしない!殺される!間違いなく殺される!!



兵士:う、うわあああああああああああ!!!



最後の兵士は逃げ出した。

その判断は、正解だったと言わざるを得ない。

怒りで正気を失っている今、もし銃を向けたらその瞬間に首を跳ね飛ばしていたかもしれないっ!!

・・・その位、速かったのだ。



貴族:お、おい!逃げるな!撃て!撃ち殺せっ!!



怒声空しく響き渡る。

もう守ってくれる兵士はいない・・・っ!!

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最後の一人へと歩み寄る。

貴族:ヒ、ヒィ!

逃げようとしたが、恐怖で足がもつれて転んだ。

それでも、手を使い地を這うようにして逃げる。

が、ついに壁へと追い詰められた。












後・・・10歩。

貴族:い、今なら資産の一部を分けてやっても良いぞ?













・・・5歩。

貴族:は、半分でどうだ?!それだけでも十分遊んで暮らせるぞ?!
















・・・1歩。

貴族:す、すまなかった!頼むから命だけはっ!!














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首を狙ってナイフを構え、














─────ッ!!

ザシュッ!

















貴族:・・・・・ブクブクブクブク

ナイフは・・・首の皮を少し切っただけだった。

もっとも、死の恐怖に耐えかね、泡吹いて失神したようだが。

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盗賊:・・・。

生かすつもりなどなかった、本気で殺すつもりだった。

それでもナイフを外した理由は、













盗賊:お前・・・今止めろって言っただろ?











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子竜:・・・ピー・・・。

友達の声が、聞こえたからだ。

だから狙った場所から微妙にずれてしまった。




槍で貫かれたその状態は明らかに致命傷。

何故まだ生きているのか不思議な位だ。

・・・まぁこちらとて、肩を撃ち抜かれて血を流しすぎている。

死に至るのは時間の問題だった。

盗賊:せめて・・・森へ行こうか。

子竜:・・・ピー。

串刺しになっている友達を抱え、フラフラ森へと向かった。














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盗賊:フンッ!!

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子竜:ギャァ!!!

森に入ってすぐに友達に刺さっていた槍を引き抜いた。

ドクドクと血が吹き出る。

盗賊oO(その穴さえ塞げば・・・お前は助かるかもしれないな・・・)

付けていたずきんを外し、包帯代わりで巻いてやった。

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盗賊oO(そのずきんは服と違って丈夫なヤツだから・・・これでなんとかなるだろ・・・あれ?)

身体が崩れ落ちる・・・限界だった。

子竜:ピ?!ギャピー!!!

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盗賊:へへ・・・ドラゴンって案外タフなんだな・・・知らなかったぜ・・・。

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子竜:ピー!ピー!

盗賊:ごめんなー結局、名前さえつけてやれなかったなー・・・。

子竜:ピー・・・。

盗賊:そんな顔するなよ、せっかく強がってるんだからさ・・・。

子竜:ピギー!!

盗賊:な、何で怒るんだよ・・・?正直に言えってか・・・?

子竜:ピー!!





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盗賊:決まってるだろ・・・怖いよ・・・死にたくないよ・・・もっとお前と一緒に色んな事をして遊びたかったよ・・・っ!!





これが彼の本心。

当たり前だ。どんなに強がっても、まだ彼は子供なのだ。

そして、この本心に対し・・・応えた。






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────その言葉が聞きたかった!!






盗賊:あれ・・・今・・・

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さっきまでのあたふたしている雰囲気はなく、何か決意したように行動を始めた。

盗賊の懐を探って、ナイフを取り出し、口に咥えた。

盗賊:お前・・・なにして・・・っ!?

盗賊が驚くのも無理はない。

ブンブンと首を振り、せっかく巻いてやったずきんを切り落とし───、








あろうことか、自分の身体にナイフを差し込んだ。





子竜:───ッ!!






それだけでは終わらない。

グリグリと傷口を広げるようにナイフを動かす。

深く、深く傷つけてナイフを引き抜いた。




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盗賊:な、なにやって・・・むぐ!

子竜:ピー!!

口を塞がれた。

しかも、ただ塞がれたのではない。

今しがた自分でつけた傷口を、俺に押し付けて塞いでいるようだ。

口の中にドロリとした液体が流れ込んでくる・・・。



盗賊oO(まさか俺・・・今、血を飲んでいる・・・?)




─────荒っぽい方法でゴメンね、でも時間なかったから。

盗賊:!!

声の主が誰なんて聞く必要はなかった。

盗賊oO(おい!こんな事してどうなるんだ!!)

─────覚えてない?ほら、あいつらがボクを殺そうとした時の言葉。

盗賊oO(?・・・っ!!)



そうだ・・・狂言を言い出した時の言葉に・・・、



血は薬に。

目は指輪に。

羽は耳飾りに。

重要なのは・・・一番最初。



盗賊oO(・・・血は・・・薬に・・・)

─────そういう事。本当はこうして生き血じゃないとダメなんだけど。

不老不死とまではいかないけど、寿命だけなら1000倍は生きれると思うよ?と補足された。

しかし、それはもう、充分不老不死のレベルじゃないのか・・・?

そこでハッと気づく。

盗賊oO(お前は・・・お前はどうなるんだよ?)

今も尚、身体を押し付けられ、血を飲ませられている。

でも分かる、流れ込んできてるのは血だけではない。



生命力が、血を媒体にして身体に流れ込んできている!



─────ボク?うん、まぁ・・・死ぬだろうね。

何をそんなあっさりと言うんだよ。

盗賊oO(それじゃダメだろうがっ!!立場が逆転しただけだろ!?!)

─────君が死んでボクが生きるのと、ボクが死んで君が生きるのでは価値が全然違う。

盗賊oO(価値なんて知るかよ!俺はお前に死んで欲しくない!!)

怪我してる所を拾った時、怪我自体はさほど酷くなかった。

あの時、拾わなければ・・・お前はこんな酷い目に遭わなかった筈なのだ。

盗賊oO(ゴメン・・・本当にゴメン・・・俺が・・・俺のせいで!!)




─────自分を責めないで・・・といっても無理か・・・だけどね?





─────そんな君だからこそ、ボクも出来ることを尽くすのさ。





盗賊:!!!!!





なんてことはない。友が出来て嬉しかったのは盗賊だけではなかったのだ。




ドラゴンもまた、優しい友の為に出来ることをしようと思っただけ。




・・・最後まで守ろうとしてくれた、優しい友への恩返し。





─────聞いて。大切なお願いがあるんだ。




─────君には凄い力が隠されてる・・・あの暗黒の魔法使いさえ倒せるとびっきりのね。

─────だから君はボクよりも生きる価値があるんだ。

盗賊oO(英雄にでも・・・なれって言うのかよ・・・?)

無理だ。もう生きていても何をすればいいか分からない。

─────違うよ。僕のお願いは、もっと簡単さ。

盗賊oO(・・・?)








─────ボクを助けてくれた時の優しさを、忘れないで欲しい。








盗賊oO(なん・・・だって・・・?)

─────ごめん、そろそろお別れみたい。せっかく格好付けれる所なのに残念だな。

盗賊oO(おい!待ってくれ!どういう意味だ?!)

─────いずれ分かるよ。あ、竜族の血が身体に馴染むのは少し時間がかかるからね、まだ無理しちゃ駄目だよ。

盗賊oO(・・・あぁ。)






─────バイバイ、ボクの友達。君に会えてボクは本当に幸せだった!!




口を塞いでいた友がするりと離れた。

すでに身体の痛みはなくなっていて、問題なく立つ事が出来た。

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子竜:・・・。

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確認するまでもない、友は・・・死んだ。


盗賊:・・・あばよ。たった一人の、俺の友達・・・うぅぅ・・・あぁあぁああっ!!!




















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あの約束を守れたかは分からない。

崩れていく体は止まらない。

最後に思い浮かんだのは、アイツだった。

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助けられる側になって分かったその気持ち。





やれることは・・・やった。






盗賊oO(さぁ・・・アイツら・・・が・・・驚く・・・顔を・・・見に・・・)



 





教会はなくなり、草木も枯れた土地。


 




そこにあった最後の何かも、やがて消えてなくなった。






(最終話へ。)

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無題
更新お疲れ様です。
いつも楽しく読ませていただいてます。


ところで、野暮かもしれませんが、

>あの約束を守れたかは分からない。
く体は止まらない。
>最後に思い浮かんだのは、アイツだった。

>助けられる側になって分かったその気持ち。
>やれることは・・・やった。
>盗賊oO(さぁ・・・<u>アイツら</u>・・・が・・・驚く・・・顔を・・・見に・・・)
>教会はなくなり、草木も枯れた土地。
>そこにあった最後の何かも、やがて消えてなくなった。

暗黒の魔法使いと戦ったのはシスターと出会う前ですよね?
自分視点では「アイツら」とは孤児とシスターのことだと思うのですが、それだと時間軸がおかしいですよね。
「アイツら」とは誰なんでしょうか・・・
蝋燭 2011/09/23(Fri)21:01:24 編集
無題
>蝋燭くん。

この物語の時間軸。

1.騎士団との接触。
暗黒の魔法使いと1度目の戦闘。

2.負傷した盗賊をシスターが発見。

3.盗賊、怪我より回復。教会を去る。
団長、騎士団を脱退。盗賊の素性を探る。

4.シスター、孤児の引き取り手を探す。その光景を盗賊が発見。

5.暗黒の魔法使い(が使役した魔物)が教会を襲う。
盗賊、子供達より事情を聞き、シスターを保護。


6.数ヶ月が経過。盗賊の隠れ家にて過ごす。
元団長、盗賊の秘密を明かす。強くなる為に竜及び人ではない力を探す(失敗)。
暗黒の魔法使い、教会の拠点にて力を蓄える。

7.盗賊と暗黒の魔法使い二度目の戦闘、決着。
盗賊の回想。


8.エピローグ(次話)。


時間軸はこんな感じ。盗賊と暗黒の魔法使いは二回遭遇しているわけだ。

というわけで、「アイツら」の解釈は合ってるよ。
分かりにくくてすまぬ。


花火 2011/09/26(Mon)20:45:13 編集
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