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2024.11.22 (Fri)
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2010.01.15 (Fri)
2010.01.15 (Fri)
この物語はフィクションです。
全てはメイプルストーリーの世界観を基にした架空の物語です。
──────これはまだ暗黒の魔法使いが猛威を振るっていた頃のお話。
暗黒の魔法使いの恐怖に脅えるこの時代に、一人の盗賊がおりました。
ある時、重傷を負ったところを町外れにある小さな修道院に住んでいるシスターに助けられました。
そのシスターが、彼に対してこう言いました。
────貴方は、本来とても優しい心を持っている、と。
彼は、その言葉を否定し修道院を去りました。
・・・この時はまだ、互いの事を全く知りませんでした。
どんなに険しい山や荒野でも、彼を阻む事は出来ないと人々は言った。
3分で世界の端まで行ってみせると言うのは比喩ではない。
彼は疾風となって世界を翔け抜けた。
盗賊:ハァ・・・ハァ・・・ッ!
数分後、彼は自分の隠れ家に戻りました。
自分以外は誰も知らない、世界の端にある特殊な隠れ家に。
盗賊oO(あのちっぽけな修道院も、不愉快なシスターも俺には関係ない・・・っ!!)
だが・・・どうしてもあの言葉が頭から離れてくれなかった。
─────貴方は本来とても優しい心の持ち主じゃないのですか?
─────貴方が私の考え通りの方だったら・・・また、ここで会うことになるでしょう。
盗賊:・・・クソ!!
懐に入っていた宝を憤りを込めて放り投げる。
ガシャ!
床に落ちたネックレス。
今にして思えば、事の発端はこのネックレスである。
盗賊oO(・・・ったく、こんなふざけたもの作りやがって・・・っ!)
別に自分で身に付ける気も、闇取引で売り払うつもりも無かった。
単に、このネックレスの存在が気に食わないだけ。
盗賊oO(こんな腹の足しにもならんモノよりコイツの方がずっと価値がある。)
ガサゴソともう一度懐を探る。
取り出したのは・・・一つのリンゴ。
しゃりしゃり。
盗賊oO(貧民から金搾り取ってこんなもん作って平和の象徴たぁくだらねぇ・・・っ!!)
ごろん、と横に寝転んだ。
このネックレスを作ったのは、貴族と称される大富豪。
貧民に原石を掘り起こさせ、腕の良い沢山の職人たちを雇い作らせた代物。
盗賊oO(・・・結局、貴族達の権力の象徴じゃねぇかっ!!)
金が嫌いだった。
暗黒の魔法使いなんかよりも、金の方がよっぽど人を狂わせる。
私欲の為なら、自分以外にどこまでも冷たくなれるのだから・・・っ!!
家は決して恵まれてはいなかった。
両親はいつも生気の無い顔をしていた。
まぁ、飯が食えただけ幸せかもしれない。
盗賊:ご馳走様でした。
母親:あら、もういらないの?
父親:残すなんてバチあたりだぞ?ちゃんと残さず食べなさい!
盗賊:の、残りは自分の部屋で食べるからっ!
そう言って、自分の部屋へと逃げた。
両親:・・・・・・・。
バタン。
扉を閉めてホッと一息ついた。
部屋の端においてあるダンボールをゆっくり開けた。
盗賊:おい、飯だぞ。
子竜:ピー!ピー!
盗賊:こ、こら!静かにしろ!親にばれちゃうだろ!
子竜:ピ?
想いが通じたのか大人しくなった。
盗賊:ほら。俺の分を分けてやるんだから感謝して食えよっ!
子竜:ピ~!
パクパクパクパクッ!
盗賊:・・・にしても、マジでドラゴンなんだなぁ・・・小さいけど。
いつも遊びに行ってる森には沢山の動物がいる。
モンスターもいるけど、逃げ足には自信があるから平気だ。
で、偶然怪我しているコイツと出会ってしまったのだ。
今まで色んな生き物に出会ってきたが、ドラゴンを見るのは初めてだった。
興味本位で拾って帰ってきたせいで、自分の腹は半分しか満たされなかった。
盗賊:ホントさーなんでこんな奴拾っちゃったんだろ・・・おかげで俺は満腹食えなかったし・・・。
子竜:ピ?
どうしたの?と言わんばかりに覗き込んでくる。
盗賊:足りなくても文句言うなよ。俺だって足りないんだから。
子竜:ピー!
盗賊:・・・言葉の意味分かってるのかね?
怪我するようなドジな奴が理解できるわけないか、と一人納得する。
まぁその怪我も手当てはちゃんとやったし、幸い軽傷だったからすぐにでも動けるようにだろう。
盗賊:しかし怪我するなんてアホな奴だよな~俺ならそんなヘマしないぞ?
それは独り言で、特に返事を期待してる訳じゃない。
しかし、
子竜:ピ、ピ~・・・
しょんぼりした。
盗賊:・・・。
子竜:ピ?ピー!
何故か楽しくなってぎゅっと抱きあげた。
盗賊:ハハハッ!お前面白い奴だな!
同年代の子供は森は危ないからと言って誰も近寄らなかった。
だから自分から森へと行く俺を、周囲は疎遠した。
この小さなドラゴンが初めての友達。
・・・何故だか分からないが、たったそれだけで嬉しくなった。
盗賊:まだ腹減ってるだろ!あんまし良くないんだけど森から少し採ってくるわ!
森の果物を取ると、そこを縄張りにしているモンスターが怒るから。
ちょっと怖いけど、この小さい友達の為に頑張ろうと彼は心に決めた。
盗賊:いいか?俺が帰ってくるまで静かにしてるんだぞ?
子竜:ピー!
盗賊:・・・いや、鳴いちゃダメだろ・・・まぁいいか。
彼は森へと向かった。
・・・ずっと森で遊んできたのだ。
どこに何があるかなんて把握している。
盗賊:よっ、ほっ・・・と、まぁこのぐらいかな?
ナイフを使って果物をもぎ取る。
盗賊:ごめんな!俺が食べる訳じゃないから許せよなっ!
モンスター:ガー!!!
盗賊:ちょ、許せって言っただろっ!!
追いかけてくるモンスター、だが決して捕まる事は無かった。
自分でも不思議なくらいに、力が湧いてきたから。
盗賊:よっ・・・と。ちょっと取りすぎたかな・・・。
この量は流石にモンスターも怒るか・・・と反省した。
でも、ドラゴンだしこのぐらい必要だろうと言い訳もした。
モンスターに追われたせいで、すっかり夜遅くの帰りとなってしまった。
盗賊:ただいま・・・あれ?
見慣れない靴がある・・・それも、凄い高級そうなヤツだ。
こっそり居間を覗き込むが、誰もいなかった。
客が来ているなら、普通居間で応対する筈なのに。
はっきり言って家は貧乏であり、特別何かがあるわけでもない。
そんな何も無いうちに客が来る理由なんて・・・、
盗賊oO(・・・まさか!)
バタン!!
部屋にいたのは、両親と、いかにも金を持っていそうなヤツとそのお供たち。
全員、部屋の端にあるドラゴンを入れてある箱を取り囲むようにして立っていた。
盗賊:そこから離れろ!!
ジロっとこっちの方を向いてきた。
貴族:随分と生意気な口ですね、一体どんな教育をしているんだか。
親:す、すみませんっ!すぐに謝罪させます!ほら、早く謝って!!
盗賊:五月蝿い!おいお前!ソイツをどうするつもりだ!?
貴族:・・・まぁいいでしょう。ドラゴンなんてペットの中では最高のステータスですからね・・・おい、取り押さえろ。
兵士:はい。
大の大人3人がかりで動きを封じられてしまった。
盗賊:おい!何するんだ放せ・・・むぐっ!!
さらには口まで塞がれてしまう。
貴族;むしろ感謝するべきですよ?高く買い取ってあげようとこんなボロい家にまで足を運んであげたのですから。それに・・・、
もがくのを見て笑いながら話を続ける。
それに?これ以上に一体何があるんだよっ!!
貴族:このお話を持ちかけてきたのは貴方の両親です。
盗賊:!!!!!!!!
貴族:ですから、私を恨むのは筋違いと言うものです。
抵抗するのを止めた。
両親を見てみる・・・露骨に視線から顔をそらした。
盗賊:・・・。
なんだよそれ、ふざけるなよ。そう声に出したくても口は塞がれている。
そんな両親に向けて貴族が言う。
貴族:少々不愉快な子供でしたが、まぁドラゴンが手に入ると言う事で大目に見てあげましょう・・・おい。
兵士:はい。ではコチラがその代金です。
取り押さえていた1人が俺から離れ、両親に考えた事もない程の大金を渡した。
・・・この時の親の顔は一生忘れないだろう。
大金を見て歪みきった、その笑顔を。
盗賊:な、なぁ・・・せめて最後に別れだけさせてくれよ。
さっき口を押さえていた兵士が動いたので、話すことが出来た。
貴族:・・・その状態でよければ構いません。
盗賊:じゃぁ、それでいいや。
左右から挟まれてる状態で、箱の前まで連れてこられた。
盗賊oO(・・・幸せそうに寝やがって。)
初めて出来た友達だった。
家で飼えなくても明日森に返せば、これからもずっと会えるだろうなんて考えていた。
それを・・・こんな形で失っても良いのか?
俺は親に裏切られ、お前は貴族の玩具にされるなんて事を認められるのか?
────そんなの、認められるわけ無いだろ・・・っ!!!!
盗賊:煙幕弾!!!
兵士:!?
煙が全員の視界を覆った。
兵士がひるんだその一瞬の隙を突いて、拘束から抜け出し、ドラゴンを抱えて・・・窓を蹴破った。
貴族:ゴホッゴホッ!お、追いなさい!最悪両方とも殺してしまっても構いません!
2人の兵士が追ってくる。
だが遅い。森で鍛えた足に追いつける訳が無い!
徐々に差が開いていくのを確認する。
これなら逃げられる!そう思った時だった。
バキュン!!!
盗賊:!!!!
遠くにいたもう1人の兵士に、銃で肩を撃たれた。
衝撃で足がもつれ、抱えていたドラゴンを投げ出し倒れてしまう。
子竜:ピギャッ!?
ドラゴンも放り出され地面に叩きつけられる。
すぐに安否を確認したかったが俺自身撃ち抜かれた肩の痛みでそれどころではなかった。
盗賊oO(・・・肩が燃えてるみたいだ・・・・っ!)
子竜:・・・ピー・・・?
倒れてる俺の異変に気づいたのか、そっと近寄ってきた。
盗賊:・・・ば、ばかやろー・・・早く逃げろって・・・っ!!
しかし、ドラゴンは俺から離れようとはしなかった。
貴族:やれやれ、随分苦労かけさせてくれましたね。
盗賊:!!
・・・追いつかれてしまった。
貴族:子供だと思って甘く見たのが失敗でした。ここで災いの芽は潰しておきましょう。
兵士に向け、殺れ、と一言だけ言った。
あくまでも自分の手は汚さないか。
・・・そんな心配しなくても、心はすでにドロドロに汚れてるというのに。
兵士が槍を振り上げる。
避けようにも身体は撃たれたショックでまだ動かない───っ!!
ピギャー!!!
兵士:!?
兵士の動きが止まった。
ドラゴンが俺と兵士の間に割って入ったからだ。
子竜:ギャー!ギャー!!
兵士:な、なんだコイツ?
戸惑う兵士達にバタバタとぶつかっていく。
捕獲が目的だから不用意に手が出せないのか・・・?
盗賊:・・・お前。
ギャーギャーと鳴く、それはまるで「離れろ!」と言ってるみたいで。
兵士:す、すみません一体どうすれば・・・
困った兵士が指示を仰ぐ。
貴族:仕方ないですね。ここはご主人様としてしっかり手懐けて見せましょう。
そう言って取り出したのは・・・高級そうなしもふり肉。
盗賊oO(・・・餌付けかよ・・・)
貴族:あんな貧乏な家では一生こんなもの食べれませんよ?さぁ来なさい。
そう言って手招きした瞬間だった。
子竜:ギャー!!
火を吐いた。
勿論、貴族に直撃、黒焦げである。
兵士も、貴族も呆然としている。
盗賊oO(はは・・・ざまあみろ・・・っ!)
出会いは偶然だった。
本当に、わずかな時間しか触れ合えなかった。
けれども、時間なんて関係ない・・・っ!!
────コイツは紛れもなく俺の友達だった。
逃げよう。
何とかしてここから逃げ出そう。
今も尚兵士に抵抗している友達を見る。
・・・こうして時間を稼いでくれたおかげで、撃たれたショックは大体抜けた。
傷は痛むが、今は関係ないっ!
後は隙を見て・・・、
貴族:クククク・・・キケケケケケ!!!
盗賊:?!
貴族:気が変わりました!ペットにするの止めましょう!!それよりも殺して様々な材料にしましょうかぁ!!!
さっきまでとは訳が違う、言わば本気の殺意。
貴族:さぁ早く殺すのです!血は薬に!瞳は指輪に!羽は耳飾りにするのですからあああ!!!!!
捕まえるのではなく、殺す事に命令が変わった今、兵士がドラゴンに遠慮する必要はなくなった。
盗賊:待て、止めろ・・・っ!
兵士はさっきまでのお礼だと言わんばかりに槍を構えた・・・っ!!
反射的に目を閉じてしまうっ!
ザシュゥ!!!
子竜:ピギャ?!・・・ガク。
貴族:ヒャアハッハッハッハハハアッ!!
響く高笑い。
恐る恐る目を開ける。
待っていた光景は、
オオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!
続く(第四話へ。)
あとがき
ここまで読んでくださってる方々ありがとうございます。
後ちょっとお付き合い下さい;
早いか遅いか分からないけど第3話。
少しでも楽しんでいただけてれば幸いです。
コメントに感想書いてくださった方々もの凄くありがとうございます!
この物語が良い意味で皆さんの予想を裏切ってたらいいなと思います。
いい加減ちゃんとしたタイトル付けるべきなんですけど・・・もうしばらくはこれで。
では、また次回でお会いしましょう^^
今日は、これにて。
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