2024.11.22 (Fri)
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2010.10.26 (Tue)
この物語はフィクションです。
全てはメイプルストーリーの世界観を基にした架空の物語です。
──────これはまだ暗黒の魔法使いが猛威を振るっていた頃のお話。
暗黒の魔法使いの恐怖に脅えるこの時代に、一人の盗賊がおりました。
そんな彼に一騎打ちを申し込んだ団長。
一度意表を突いたものの、やはり彼はとても強く、倒すことは出来ませんでした。
しかし、団長の本当の目的は、別にあり、彼もまたそれを見抜いていました。
彼が去り、取り残された騎士団はとりあえず帰る準備をする事に。
すでに色々な出来事があった一夜ですが・・・本番はここからだったのです。
部下たちの撤収準備も終わり、屋敷の玄関のドアを開けた。
団長:え?
なんと彼がいた。
屋敷に背を向けて、まるで守るように。
彼が私達に気づいて叫ぶ。
盗賊:中に戻れ!!
団長:え?え?
盗賊:いいから早く!!!
???:ククク・・・余所見していていいのかね?
ゴオオオオオオオオオオオ!!!!
団長:な、なんだあれは!?
凄まじい魔力による攻撃がこちらへと飛んできた。
これは・・・!なんて禍々しい・・・人の業には思えない!
こんなモノを受けてしまっては人間どころか屋敷さえ跡形も無く消滅する!
眼前に迫る魔力の前に、私達は成す術が無かった。
盗賊:『チャクラマキシマム』!!
団長:?!
ゴゴゴゴゴゴ・・・!!!
彼の身体から、凄まじい力の奔流を感じる・・・!?
盗賊:いいか!?これはなんとかしてやる!!お前らは別の所から逃げるんだぞ!!!
ハッと我に帰り、屋敷の中へと戻る私達。
その後ろを振り返ると、
盗賊:オオオオオ!!!『ドラグーンストーム』!!!!!!
ズドオオオオンッ!!!
猛る巨大な光の柱が、あの禍々しい魔力を受け止めていた。
女騎士:す、凄い・・・!!
団長:同感だが、今は一刻も早くこの場から脱出しなければならない!
女騎士:で、ですが、出口はどこに?
団長:見つからないなら、作ればいい!!『バスターブレスト』!!
ドガァンッ!!
屋敷の壁を壊して、そこから脱出する。
そして部下たちには全力でこの場から離れるように指示する。
女騎士:団長?どうしましたか?
団長:私は、ここに残る。
どうしても彼の戦いが見たかった。
戦っている相手は大体予想が付く。
・・・先ほど彼の言っていた言葉の意味が分かるかもしれない。
女騎士:なら、私もお供します。
団長:・・・分かった。
彼が見える位置に身を隠し、改めて彼の方を見ると・・・その戦いはもはや人間同士の戦いでは無かった。
次々に飛んでくる黒い魔弾を彼は全身を巡る力を振るう事で打ち払う。
時折放たれる巨大な魔力は先ほどの光の柱で受け止めていた。
彼が戦っている相手はやはり・・・、
暗黒の魔法使い:アレだけ手を回してもお主1匹殺せないとは・・・人間とは無能なものよ。
盗賊:俺を殺せないのはお前も同じだ、つまりはお前も無能って事だ。
暗黒の魔法使い:ハッハッハ、面白い事を言う。
盗賊:屋敷に住んでいた人間はお前の傀儡って所か?
暗黒の魔法使い:クク、お見通しか。ついでにあの目障りな騎士団も消せるかと思うたが、少々お主を侮っていたようだな。
盗賊:俺があんなブービートラップに引っかかるわけが無いだろう。
暗黒の魔法使い:なるほど・・・だが所詮は人間、どこまで楽しませてくれるかな?
今、世界を脅かしているあの魔法使いだった。
女騎士:だ、団長・・・
団長:・・・・・・。
そう、本来なら今ここでヤツと戦うべきだ。
しかし、正直なところ・・・私達は恐怖で震えていた。
勝てるわけがない。自分の剣がヤツに通じると思えない。
どうして彼は戦える?
どうしてヤツに立ち向かえる?!
なおも激しい攻防が続く。
対等に戦う彼に、流石のヤツも疑問を抱いたようだ。
攻撃を止めて、彼に問いかける。
暗黒の魔法使い:うろちょろ五月蝿いネズミにしか思っていなかったが・・・お主、本当に人間か?
盗賊:そんな事はどうでもいい・・・!!来ないならこちらから攻める!!
暗黒の魔法使い:な───っ?!
しかし、攻撃が止んだ今を好機と判断した彼は、一瞬で間合いを詰めると、
盗賊:『ドラグーンストーム』!!!!!!
ズドオオオオンッ!!
先ほどの光の柱がヤツを包み込んだ。
団長oO(やったか?!)
そう期待するも、残念ながらヤツは健在だった。
暗黒の魔法使い:クッ・・・まさか我が障壁を破って傷を負わす事の出来る人間がいようとは・・・!!
結構なダメージを受けたようで、先ほどの余裕は消え去っていた。
盗賊:お前の、攻撃を、止められるのだから、ダメージを、与えられるのだって、不思議は、ないだろう。
そう言い返す彼だったが、すでに肩で息していてかなり消耗していることは明白だった。
それはヤツにも分かったらしい、ニヤリと笑って言った。
暗黒の魔法使い:・・・クク、しかし、今の一撃が限界だったようだな。
だが、彼は笑う。
盗賊:いいや、まだだ・・・いずれにせよ、次が最後だが。
暗黒の魔法使い:・・・!!
その一言に、ヤツの笑顔は消し飛んだ。
・・・まだ彼にはアレ以上の手が残っているというのか?
次の一言は、とても小さくて、聞き取ることが出来なかった。
盗賊:──────────ッ!!!!!!!
暗黒の魔法使い:そ、それは!!
その言葉が聞こえたらしいヤツは突如慌てふためいた。
団長oO(一体何を言って・・・あ!!)
暗黒の魔法使い:・・・どうやらネズミが紛れ込んでいたか・・・コレは好都合だ。
ヤツが・・・コチラに気づいてしまった。
私達を見てにやりと笑い、
暗黒の魔法使い:ククク、確かにお主の強さには驚愕させられたが・・・残念だったな!!
盗賊:─────ッ!?
暗黒の魔法使い:さぁ、どうする!?
ゴオオオオオオオオ!!!
彼ではなく、私達に向けてあの魔力が発射された。
それはとても大きくて、満足に逃げることもかなわない───ッ!!
ズドオオオオオンッ!!!
団長:・・・え?
女騎士:そんな・・・!!
真っ暗になった目の前が徐々に見えてくる。
その攻撃は、私達までは届かなかった。
盗賊:・・・カハッ・・・バカ野郎・・・逃げろって・・・言っただろうが・・・っ!!
彼が、その身をもって私達をかばってくれていた。
暗黒の魔法使い:さぁて、もう少し遊んでいこうか。だが、先ほどのアレはやらせぬぞ。
自分が優勢になった事で随分と余裕が出来たようだ。
しかし・・・あの余裕は私達が足を引っ張った事で生まれたのだ・・・。
それがとても屈辱で、我を忘れて立ち向かおうとする。
団長:オオオオオ!!
ガシッ!
そんな私を止めたのは・・・彼だった。
盗賊:早くここ・・・から!・・・離れろ・・・!!今の・・・お前、らじゃ・・・勝てん・・・っ!!!
女騎士:団長!逃げましょう!
団長:・・・クッ!!
タッタッタッタッタ・・・
彼を残して、その場を去った。
私達が逃げる間も、彼は戦っていた。
あの満身創痍の身体で。
逃げながら、強く、強く願った。
願わくば、彼が無事でありますように、と。
続く(第十七話へ)。